開業準備にかかった費用は、「開業費」として特別な方法で経費計上できます。
本記事では、開業費の基本的な考え方から仕訳方法までを解説します。
目次
■開業費とは
開業費とは、事業を開始する前(開業準備期間)に支出した費用のうち、事業のために必要と認められるものを指します。
通常、経費は支出した年に計上しますが、開業費は例外的に、開業後にまとめて経費化できるという特徴があります。
■開業費の特徴(繰延資産としての扱い)
開業費は「繰延資産」として扱われます。
繰延資産とは、支出した費用をすぐに経費にせず、将来にわたって分けて経費計上できるものです。
開業費の主なポイントは以下の通りです。
- 任意のタイミングで償却(経費計上)できる
- 一括で全額を経費にすることも可能
- 数年に分けて少しずつ経費にすることも可能
そのため、利益状況に応じて柔軟に調整できます。
■開業費に含められる費用・含められない費用
開業費に含められる費用
個人の場合は、以下の2つの要件を満たすものが開業費となります。
- 開業届や登記を手続きする前日までの期間の支出費用であること
- 開業準備のための費用であること
例:
開業準備のために支出した、以下のような費用が対象です。
- 開業のためのセミナーへの参加費用
- 市場調査費、打ち合わせ費用
- 開業前の広告宣伝費(チラシ・Web広告など)
- 名刺・パンフレット作成費
- セミナー参加費(事業準備目的)
- 関係先への手土産
- 開業までの借入金利子
- 物件探しの交通費
- 開業前に支払った事業用の家賃、通信費用
- パソコン購入費用等(10万円未満)
開業費に含められない費用
開業費に認められない費用には、以下のようなものがあります。
- 開業後に発生した費用
- 経費として計上できない支出のため、「開業費」として計上できません。
- 個人的な生活費等
- 「開業費」としては処理せず、日常の経費として仕訳を行います。
例:
以下の費用は開業費としては扱えません。
- 開業前の商品の仕入れ代金(→仕入として処理)
- 開業前の10万円以上するパソコン・机などの備品(→固定資産として減価償却)
- アプリでは資産としての仕訳登録と減価償却のための固定資産登録を行う
- 開業後に発生した費用(→通常の経費として処理)
- アプリでは経費として仕訳登録を行う
- 開業前のプライベートな支出(生活費など)
- 事業の経費としては扱えないため、何もしない
- 開業前の敷金・保証金(→資産として処理)
■開業費の処理の流れ
開業費は、以下の流れで処理します。
① 開業前の支出を「開業費」として登録
開業前に支払った費用を、資産として計上します。
② 確定申告時に「開業費償却」を計上
決算・確定申告のタイミングで、開業費のうち、任意の金額を経費として計上します。
■開業費の仕訳方法
▼事例
開業前に広告費として10万円を個人の口座から支払った場合
仕訳内容
(借方)開業費 100,000 (貸方)事業主借 100,000【アプリでの仕訳登録時の設定】
- 区分:支出
- 金額:100,000円
- 科目:開業費
- 支払い方法:事業主借
▼解説(ワンポイント・アドバイス)
・開業前の支出は「開業費」として資産計上します
・個人のお金で支払った場合は「事業主借」を使用します
・事業用の口座(普通預金)から支払った場合は「普通預金」を使用します。
■開業費償却の仕訳方法
▼事例
決算時に開業費のうち5万円を償却する場合
仕訳内容
(借方)開業費償却 50,000 (貸方)開業費 50,000【アプリでの仕訳登録時の設定】
- 区分:支出
- 金額:50,000円
- 科目:開業費償却
- 支払い方法:開業費
▼解説(ワンポイント・アドバイス)
・償却した分がその年の経費になります
・残りは翌年以降に繰り越されます
・利益が多い年に多めに償却するなど調整が可能です
■補足(よくあるポイント)
- 開業費は必ず計上しなければならないものではありません
- 開業費としてどれぐらい過去までの支出を含められるかについて、法的な定めはありませんが、開業した日の数カ月前から1年前程度が一般的とされています。
- 発生した支出のレシートや領収証は保管してください
- 「開業前か開業後か」の判断が重要です(開業日を基準に判断します)
- 判断に迷う場合は税理士等への相談をおすすめします