スマホ会計FinFinで「確定申告」を行うには、1年間の取引の記録を「帳簿」に記帳し、その帳簿に記録した取引内容をまとめた「決算書」の作成が必要です。
決算書の作成を含め「確定申告を行う際に必要な作業」は、以下の5つです。
▶確定申告を行う際に必要な作業
・初期設定
・日常の入力
・決算書作成
・確定申告書作成
この「決算ガイド」では上記の内、「決算書作成」・「確定申告書作成」・「消費税申告書作成」についてご案内いたします。以下より内容をご確認ください。
※「初期設定」・「日常の入力」を確認する場合は「日常ガイド」をご覧ください。
目次
▽ 消費税 編
1.消費税の申告が必要な方はこんな方
以下の条件のどちらか一方にでも該当する方は、消費税の申告が必要となります。
- 2年前の課税売上の金額が1000万円を超えた場合
- インボイス(適格請求書等保存方式)制度に対応する場合
以下国税庁のホームページにて、インボイス制度について詳しく記載があります。
国税庁のホームページご確認頂くか、所轄税務署もしくは税理士先生に相談いただき、インボイス制度に対応するかどうかを判断していただければと思います。
2.消費税の申告方法の違い
消費税の申告方法は「一般課税」、「簡易課税」の2種類ございます。
以下の表に消費税の計算方法の違いをまとめました。
消費税の申告方法ごとの違いを確認の上、消費税申告の方法を選択しましょう。
消費税計算方法の違い
手続き | 申告書の作成 | 帳簿の記帳方法 | |
簡易課税 | 必要 | かんたん | 売上に対してのみ消費税の設定が必要 |
一般課税 | 不要 | 複雑 | 売上・必要経費の両方に消費税の設定が必要 |
※ 消費税の申告方法は「簡易課税」がおすすめです。
簡易課税の場合、「売上」の金額のみに対し、決まった割合を掛けて税金の額を計算します。
日々の記帳作業では、「売上」取引以外の消費税の設定の考慮が不要となります。
事業者様の事務作業が大幅に軽減される点で、「簡易課税」で申告することをお勧めします。
3.日々の仕訳入力時に必要な消費税の設定
消費税の申告方法を決めたら、正しい消費税申告書を作成するために、以下の図のように日々の仕訳に「金額」、「税区分」を正しく設定しましょう。
※なお、例として1つのレシートの中に「10%」と「8%軽減」の税区分が混在している場合、それぞれの税区分ごとに分けて仕訳を入力します。
4.消費税区分ごとの主な取引例
例として、以下の「消費税区分毎の取引例」税区分ごとにどのような取引があるのかを「スマホ会計FinFin」へ入力する際の実際の画面とあわせてご案内します。
消費税区分毎の取引例
■10%・8%軽減税率の取引例
(例)食材を仕入れた代金10,000円を現金で支払った(8%軽減税率)
(仕訳)借方:仕入高10,000円 /貸方:現金10,000円
※「スマホ会計FinFin」では、以下のように入力します。
(例)商品を販売した代金10,000円を現金で受け取った(10%)
(仕訳)借方:現金10,000円 /貸方:売上高10,000円
■非課税の取引例
(例)得意先にお中元で贈るために商品券3万円を現金で購入した。
(仕訳)借方:接待交際費30,000円 /貸方:現金 30,000円
(例)従業員に商品券1万円分現金で購入し、贈った
(仕訳)借方:給料賃金10,000円 /貸方:現金10,000円
(例)損害保険料(火災保険など)5,000円を現金で支払った。
(仕訳)借方:損害保険料5,000円 /貸方:現金5,000円
(例)開業のために銀行から借入れたお金の元本100,000円と利息2,000円を預金から支払った。
(仕訳)借方:借入金100,000円 /貸方:普通預金100,000円※元本
(仕訳)借方:利子割引料2,000円 /貸方:普通預金 2,000円※利息
以下国税庁のホームページに「非課税となる取引」についての記載がございます。
ぜひご確認ください。
■不課税の取引例
(例)収入印紙200円を購入した。
(仕訳)借方:租税公課 200 円 /貸方:現金 200円
(例)専従者給与200,000円(内源泉所得税20,000)を支払った。
(仕訳)借方:専従者給与 180,000円 /貸方:現金 180,000円 ※給与
(仕訳)借方:専従者給与 20,000円 /貸方:預り金 20,000円 ※源泉所得税
以下国税庁のホームページに「課税の対象とならないもの」についての記載がございます。ぜひご確認ください。
また、入力しようとされている取引が実際にどの税区分に該当するかは所轄の税務署や税理士にご確認いただくと間違いありません。
5.消費税申告書の作成
日々の仕訳を正しく入力したら、仕訳内容を元に「消費税の確定申告書」を作成しましょう。
※「消費税の確定申告書」作成の操作をご案内する際、以下の(設定例)の場合を元に操作のご案内させていただきます。
以下「a. 申告書の提出方法を選択します。」より操作をお試しいただき「消費税申告書の作成を行ってください。
a.申告書の提出方法を選択します。
画面下の[確定申告]ボタンをタップし、次に[消費税申告はこちら]をタップします。
[設定する]ボタンをタップし、「消費税の申告書」の提出方法を選択します。
画面下の[設定完了]ボタンをタップして、設定を完了させます。
b.消費税申告設定の作成
「消費税申告の流れ」の[1.消費税申告設定の作成]ボタンをタップします。
画面に表示されるいくつかの質問に回答して、設定行いましょう。
「課税事業者」を選択し、「つぎへ進む」を選択します。
次に消費税額の計算時の端数処理についての設定を行います。
ここでは「切り捨て」を選択し、[つぎへ進む]を選択します。
※端数処理について詳しく確認したい場合は、以下をご確認ください。
続いて、消費税の計算方法を選択します。
「簡易課税」と、営んでいる事業の業種(例として小売業)を選択し、[つぎへ進む]を選択します。
どの事業を選択したらよいかわからない場合は、所轄の税務署、税理士にご確認いただくか、以下の「簡易課税制度の業種別事業区分の一覧」をタップしてどの事業を選択したらよいかご確認ください。
簡易課税制度の業種別事業区分の一覧
事業区分 | みなし仕入率 | 該当する事業 |
第1種事業 | 90% | 卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。 |
第2種事業 | 80% | 小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)をいいます。 |
第3種事業 | 70% | 農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第1種事業、第2種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。 |
第4種事業 | 60% | 第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業および第6種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業などです。 なお、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となります。 |
第5種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第1種事業から第3種事業までの事業に該当する事業を除きます。 |
第6種事業 | 40% | 不動産業 |
続いて、詳細な計算方法の設定を行います。
消費税の申告書作成では「割り戻し計算」がよく使われているため、本手順では「割り戻し計算」を選択し、[設定完了]ボタンをタップします。
「設定内容を確認」画面が表示されますので、設定を確認の上、画面下[20XX年度消費税申告画面へ]ボタンをタップします。
以上で消費税の計算に関する設定が完了しました。
c.消費税申告関連値入力
[2.消費税申告関連値入力]ボタンをタップして、消費税の計算に必要な数値の入力を行います。
「基準期間の課税売上高の入力」には、2年前の売上高を入力します。
なお、既に課税事業者の場合は、2年前の「課税売上高」の金額を入力します。
※課税売上高=消費税がかかる取引の税抜の売上金額と免税の売上金額の合計額となります。免税事業者の場合は、売上高(非課税の売上高などを除く)がそのまま課税売上高となります。
画面下[つぎへ進む]ボタンをタップします。
※「割賦基準の適用」画面からの設定が必要な場合は、稀なケースとなっております。
基本的には「無」を選択して[つぎへ進む]ボタンをタップし、「6.仕入税額調整額の入力」画面までお進みください
また、「割賦基準の適用」から「現金主義会計の適用」までの操作手順を確認したい場合は以下をタップしてご確認ください。
「仕入れ税額調整額」画面は、簡易課税を選択されている場合入力は不要です。[つぎへ進む]ボタンをタップして、お進みください。
※「一般課税」を選択した場合は入力が必要な場合があります。詳しくは以下の国税庁のホームページをご確認ください。
国税庁:免税事業者が課税事業者となった場合の棚卸資産に係る消費税額の調整
「固定資産に係る消費税額の調整額」以降の設定が必要な場合は、稀なケースとなっておりますので、基本的に金額欄は「¥0」のまま[つぎへ進む]ボタンをタップして画面を進めてください。
※また、「固定資産に係る消費税額の調整額」から「有価証券の譲渡価額」までの操作手順を確認したい場合は以下をタップしてご確認ください。
- 「固定資産に係る消費税額の調整額」の操作手順はこちら
- 「非課税資産の輸出等の金額、海外支店等への移送した資産の価額」の操作手順はこちら
- 「課税貨物にかかわる消費税額」の操作手順はこちら
- 「有価証券の譲渡価額」の操作手順はこちら
「設定内容を確認」画面にて設定をご確認の上、画面下[20XX年度消費税申告画面へ]ボタンをタップして設定を完了させます。
以上の操作で消費税の確定申告書の作成が完了いたしました。
d.基本情報の入力
所轄の税務署名や、申告者様の情報を入力し、申告をするための情報を入力します。
e.作成した申告書の内容を確認
[納税額または還付額を確認]ボタンをタップし、作成した消費税申告書の内容を確認することができます。申告をする前に内容をご確認ください。
※作成した書類は印刷することも可能となっております。
なお、印刷される書類はOCR読み取りが保証されているフォントには対応しておりません。
詳しい操作はこちらをご確認ください。
6.納付する消費税の仕訳入力
納税する消費税の金額が確定したら、帳簿に仕訳を入力しましょう。
「スマホ会計FinFin」では、以下の(例)の内容で仕訳を入力します。
(例)決算にあたり、翌年納める消費税額が300,000円と確定した。
(仕訳)借方:租税公課 300,000円 /貸方:未払金300,000円
(例)翌年、消費税を現金で納付した。
(仕訳)借方:未払金 300,000円 /貸方:現金 300,000円
消費税の確定申告に係る作業は以上となります。