「スマホ会計FinFin」日常ガイド
「確定申告」を行うには、1年間の取引の記録を「帳簿」に記帳し、その帳簿に記録した取引内容をまとめた「決算書」の作成が必要です。
決算書の作成を含め「確定申告を行う際に必要な作業」は、以下の5つです。
この「日常ガイド」では上記の内、「初期設定」・「日常の入力」についてご案内いたします。
以下より内容をご確認ください。
目次
1.「開始残高」を設定しましょう。
「開始残高」とは、各勘定科目(現金や預金)の1月1日時点の金額のことをいいます。
日々の取引で入出金を帳簿に記録するだけでは最終的に手元にどのくらいのお金が残っているかを正しく集計できないので、正しい金額の把握をするために、「開始残高」の設定を行います。
「開始残高」の詳しい設定方法は、以下該当するものをご確認ください。
2.「申告方法」を決めましょう。
「決算書」作成の後の申告方法には「青色申告」と「白色申告」の2つがあります。
本手順では、主に申告者様に有利な「青色申告」で申告する際の操作方法をご案内させて頂きます。
※それぞれの申告方法の違いについては以下の表をご確認ください。
申告方法の違い
申告の種類 |
事前手続き |
帳簿の記帳方法 |
※控除額 |
青色申告 |
青色申告を始めたい年度の「3月15日」までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出。 |
複式簿記(スマホ会計FinFinで帳簿入力する場合は自動的にこの形になる) |
「スマホ会計FinFin」 で確定申告すれば65万円 |
白色申告 |
不要 ※開業したばかりの方は「開業届」の提出が必要です。 |
単式簿記 |
控除なし |
※「控除額」…「収入」から「経費」を差し引いた後の「所得金額」から差し引くことのできる金額です。
3.帳簿への記帳方法
「帳簿」を作成する上で必要となるものが、日々の取引内容の「仕訳」です。
「青色申告」するためには「複式簿記」という形で、帳簿へ「仕訳」の記帳が必要となります。
「スマホ会計FinFin」では、どなたでもかんたんに「複式簿記」形式の仕訳の入力ができる4つの入力方法をご用意しております。
お客様の状況に合わせて、以下のいずれかの方法をご活用ください。
4.売上(収入)仕訳の入力方法
「4.売上(収入)仕訳の入力方法」では、一般的な「売上」取引の例と「仕訳」についてご案内します。
※「スマホ会計FinFin」へ入力する際の実際の画面も併せてご案内させていただきます。
売上(収入)の「仕訳」についてのご案内が不要であれば「5.事業の経費とは」へお進みください。
■売上(収入)の仕訳例
事業の収入を帳簿に入力する際は「売上高」という勘定科目を使用して記帳します。
「売上高」などの「収益」に当たる勘定科目の金額が増加した場合「仕訳」では以下の(例)のように「貸方」へ記載します。
(例)販売した商品の代金(税込)1,000円を現金で受け取った。
(仕訳)借方:現金1,000円 /貸方:売上高1,000円
借方科目に「現金」が入ることで「現金が増えた」ことになります。
一方で貸方科目に「売上高」を入れることで「売上金額が増えた」という取引が完成します。
※この仕訳の借方と貸方を逆に入力すると、借方科目が「売上高」で「売上金額が減った」、貸方科目が「現金」で「現金が減った」という実態とは異なる取引となります。
仕訳入力の際は、借方、貸方に入れる科目を間違えないようにしましょう。
なお、預金で受け取った場合は「現金」科目ではなく「普通預金」などの科目を使います。
本業と関係ない収入は「雑収入」として計上します。
以下国税庁のホームページに「雑収入」についての記載がございますのでご確認ください。
■後日支払われる売上が発生した場合
商品は引き渡したが、代金は後から支払われるような「売上」が発生した場合、「売掛金(後から支払われる金額)」という「資産」科目で処理をします。
(例)10月19日に取引先に商品10,000円分を販売し、代金は月末に振込まれる。
(仕訳)借方:売掛金10,000円/貸方:売上高10,000円
後日、支払が行われた時、「売掛金」という資産はなくなるので「貸方」へ記載します。
「売掛金」はなくなりましたが、支払いを受けたことにより現金や預金の残高は増えるので、「借方」へその旨を記載します。
また、口座へ入金される場合「手数料」が発生することがあります。
「手数料」をどちらが負担したかで仕訳の内容が変わってまいりますので以下の仕訳例をご確認ください。
手数料をこちらが負担した場合の仕訳
(仕訳)
借方:普通預金9,780円 /貸方:売掛金9,780円
借方:支払手数料220円 /貸方:売掛金220円
手数料が相手負担だった場合の仕訳
(仕訳)借方:普通預金10,000円 /貸方:売掛金10,000円
※なお、「paypay」などのキャッシュレス決済についても上記と同じように処理をします。
5.事業の経費とは
「経費」とは、事業にかかる費用のことです。
事業の収入(売上)から経費分の金額を差し引いて「所得」とすることができます。
※所得…「収入(売上)」から「仕事に関する支出(必要経費)」を差し引いて引いて残った「儲け」が「所得」です。税金の計算は「所得」により行います。
なお、事業のためと思って支払ったものすべてが経費となるわけではありません。
中には「経費とならないもの」もあります。
以下の「経費科目一覧表・経費にならないもの一覧表」内に代表的な「経費」と「経費とならないもの」をまとめました。
「経費」については、帳簿で使用される勘定科目と合わせて記載しておりますのでご確認ください。
※「勘定科目名」をタップすると、令和3年時点の国税庁の詳しい説明が表示されます。
経費科目一覧表・経費にならないもの一覧表
経費科目一覧表
勘定科目名 |
科目に対応する内容 |
仕入高 |
販売するための商品などの購入 |
従業員への給与、賞与、退職金 |
|
専従者への給与 |
|
福利厚生費 | 制服、慰安旅行などの従業員の為の支出 |
外部へ仕事を依頼した時の支払い |
|
電話代、インターネット関連の利用料の他、切手代や宅配料金等連絡に要した費用 |
|
水道、電気、ガスに関連する料金 |
|
バス、電車、タクシーなど移動のための支出や、一時利用のパーキング、高速代などの車に関する費用 |
|
車両費 |
事業用の車両にかかるガソリンなどの費用 |
ネット、雑誌、新聞、チラシなどで広告、宣伝するための支払い |
|
衛生費 |
クリーニングや、清掃業者を利用した衛生上必要なものの費用 |
取引先との飲食代や訪問時の差し入れのほか、贈答品代などの支出 |
|
10万円未満の備品や消耗品の購入 |
|
新聞図書費 |
事業に必要な書籍、雑誌、新聞などの購入 |
備品や車両、建物など、会社の資産を修繕するための支出 |
|
事業と関係のある税金 事業税、消費税、自動車税、固定資産税、印紙税など |
|
事務所や店舗、駐車場を借りるための費用 |
|
商品、製品を届けるための費用 |
|
賃借料 |
家賃や駐車場を外部から借りる際の費用 |
事業用の資産に対する保険料 |
|
研修費 |
職員やボランティアの研修にかかる費用 |
支払手数料 |
支払を行う際の手数料 |
販売手数料 |
代理店等への商品・製品の販売に応じて支払う手数料 |
工具器具備品など固定資産の償却費 |
|
上記に分類できなかった費用 |
経費にならないもの一覧表
(経費と間違いやすいものを抜粋しました。)
借入金 |
金融機関などから借りていたものを返しただけなので、経費にはなりません。 |
生命保険料 |
「事業のため」という理由でも個人的なものに該当するため経費にはなりません。 |
同居親族への給与、家賃などの支払い |
家族への支払いは「青色事業専従者給与」以外経費となりません。 |
所得税 住民税 国民健康保険料 国民年金保険料 |
プライベートな税金の支払いは事業の経費にはなりません。 ※従業員から預かった源泉所得税や住民税は「預り金」の支払いとなります。 |
その他、経費になるかどうか悩ましい時は、所轄の税務署など専門の方に確認すると間違いありません。
6.家事按分について
「経費」の中には、事業分と家庭分の金額が混ざっているものもあります。
※(例)事業兼自家用の車のガソリン代5,000円を支払った領収書
帳簿に記帳する際はひとまず全額の5,000円を帳簿に記帳しましょう。
最終的にこの金額は、事業分と家庭分のそれぞれ利用分の金額に分ける必要がありますが、「家事按分(かじあんぶん)」機能を使い、合計の金額から指定した使用割合に応じて、それぞれの金額を計算し、帳簿に仕訳を自動で記帳します。
また、よく家事按分されるものの代表例としては以下のようなものがあります。
・職場兼自宅として使用している部屋の「水道光熱費」など
・事業にも使用している「携帯電話代」
・事業兼自家用の車のガソリン代
「家事案分」の詳しい操作方法は、「決算ガイド」にてご案内します。
7.経費仕訳の入力方法
「経費」取引の例と「仕訳」について「スマホ会計FinFin」で入力する際の実際の画面とあわせてご案内します。
経費の仕訳を入力する際、どのような勘定科目を使用するか判断に迷う場合があると思います。
その際は、「手順5」の「経費科目一覧表」をご確認いただき、可能な限りご自分がわかりやすい分類で科目を振り分けましょう。
経費の「仕訳」についてのご案内が不要であれば「手順8」へお進みください。
■経費の仕訳例
事業に関する支出があった際に帳簿へ記帳するときは以下の(例)のように「借方」へ記載します。
(例)仕入れた商品の代金1,000円を現金で支払った。
(仕訳)借方:仕入1,000円 /貸方:現金1,000円
借方科目に「仕入高」が入ることで「仕入金額が増えた」ことになります。
一方で貸方科目に「現金」を入れることで「現金が減った」という取引が完成します。
※この仕訳の借方と貸方を逆に入力すると、借方科目が「現金」で「現金が増えた」
貸方科目が「仕入高」で「仕入金額が減った」という実態とは異なる取引となります。
仕訳入力の際は、借方、貸方に入れる科目を間違えないようにしましょう。
また、上記の内容が現金取引ではなく、預金での取引の場合は以下のように入力します。
(仕訳)借方:仕入1,000円 /貸方:普通預金1,000円
■後日支払う仕入が発生した場合
仕入や外注費など、通常の営業活動で生じた費用のうち未払いのものは「買掛金」で処理をします。
(例)10月19日に取引先から10,000円分の仕入れをし、代金は月末に取引先の口座へ振り込む掛けとした。
(仕訳)借方:仕入高10,000/貸方:買掛金10,000
(例)支払いの期日となった為、取引先の口座へ代金を振り込んだ。
(仕訳)借方:買掛金10,000円/貸方:普通預金10,000円
※振込手数料が相手負担だった場合
振込手数料がこちら負担だった場合は以下のように入力します。
(仕訳)
借方:買掛金10,000円/貸方:普通預金10,000円
借方:支払手数料220円/貸方:普通預金220円
■クレジットカードで支払いをした場合
クレジットカードで経費を支払った際は「未払金」を使用して処理をします。
クレジットカードを使用した時点で代金は支払われていない為「未払金」で処理します。
後に、口座から引き落としがあった際に引き落とされた処理をします。
(例)10月14日にクレジットカードで2,000円の本を1冊を購入。
クレジットカード利用時
(仕訳)借方:新聞図書費2,000円 /貸方:未払金2,000円
(例)後日料金が口座から引き落とされた場合。
引き落とし時
(仕訳)借方:未払金2,000円/貸方:普通預金2,000円
■従業員に給料を支払った場合
従業員への給料は「総支給額」から「税金や保険料を控除して」支払います。
(例)従業員に〇月分の給料150,000円を支払った際
(仕訳)
手取額 借方:給料賃金141,000円/貸方:普通預金141,000円
社会保険等 借方:給料賃金9,000円/貸方:預り金9,000円
■家族従業員に給料を支払った場合
「青色申告」の特典として「事業専従者(家族)」への給与を事業の経費に含めることができます。
※白色申告の場合は経費としては認められません。
専従者給与についての詳細について
「青色申告事業専従者」の条件
・同一生計の親族
・事業に専従している(他で働いてない)
・15歳以上
・6か月以上事業に従事している
・青色事業専従者の届け出を所轄税務署に出している
届出の提出期限が決まっています。
開業時は開業の届け出と一緒に、翌年以降は確定申告書(3月15日まで)と一緒に提出すると提出漏れを防げます。
「青色事業専従者給与」の金額の決め方は?
専従者給与には上限は定められていません。
※専従者給与の金額を決める際は以下の点にご注意ください。
・88,000円以上の給料を支払う場合、源泉徴収を行う必要があります。
・実態に伴った給与の金額しか支払えないことになっています。
(例)週に一度、午前中だけ働く方へ「月100万円」の金額を設定することは出来ません。
「青色事業専従者給与」のメリット
「青色事業専従者給与」の特典を使用することで節税効果があります。
ですが、お客様の状況によっては支給したほうが良いかどうかは変わってまいりますので支給につきましてはよくご検討ください。
青色事業専従者給与を支給した場合は「スマホ会計FinFin」に以下のように入力します。
(例)事業専従者へ専従者給与300,000円から源泉所得税30,000円を控除して現金で支給した。
(仕訳)
借方:専従者給与270,000円/貸方:現金270,000円
借方:専従者給与30,000円/貸方:預り金30,000円
8.事業のお金から「生活費」などを引き出した時の仕訳
事業のお金から「生活費」などを引き出したり、事業とは関係ない預け入れがあった際は、「事業主借/事業主貸」の「事業主勘定」で処理します。
■事業主勘定を使用する仕訳例
事業主借…事業主が事業へお金を投入した際などに使用されます。
(例)事業主が事業用資金として個人的なお金を追加した時
(仕訳)借方:現金1,000円 /貸方:事業主借1,000円
(例)事業とは関係ない収入があった時※預金利息が入ってきた時(利子所得)
(仕訳)借方:普通預金1,000円 /貸方:事業主借1,000円
事業主貸…事業主が事業用の通帳から生活費などを引き出した場合に使用されます。
(例)事業用の資金から生活費を引き出した時
(仕訳)借方:事業主貸1,000円 貸方:/普通預金1,000円
(例)事業分、家庭分の金額が混ざっている電話代の金額の家庭分の金額を分けるとき(家事按分)
(仕訳)借方:事業主貸1,000円 /貸方:通信費1,000円
「スマホ会計FinFin」を利用しての日常の作業のご案内は以上となります。
今後、「スマホ会計FinFin 決算ガイド」以降も公開予定です。